母が、現れた!

…なわけ、ないんですけどね。

先にオチを言ってしまうと。

 

母は、6年前に他界しています。

5月に胃がんがステージ4で見つかり、4か月後の9月に逝ってしまいました。

 

なので、「なわけない」のですが、

そっくりだったのですよ。

cafeにソフトクリームを召し上がりに来店された方が。

 

近くの施設に入所されているそうです。

近所の郵便局まで用を足しに歩いて出かけられ、その帰りにお寄り頂いたそう。

常日頃健康のため、施設内では自室の7階からロビーまでの移動を階段の昇り降りされるそうで、1日3,000歩が「ノルマ」だそうです。

今日は郵便局までの往復で、既に2,800歩までクリアできているそうです(笑)。

 

ソフトクリームのオーダーを頂きましたので、

「ミルク味でよろしいですか?」とお尋ねしたところ、

-ほかに何か違うのあるの?、と。

「生チョコがあります」とお伝えすると、

-じゃあ、チョコにするわ。

 

-チョコは老人には良いのよ

「へぇ~、カカオが血流とかに良いんですかね?」

-かも知れない。テレビで見た事あって…

などと会話しながらチョコのソフトをご提供。

 

-お値段は一緒なの?

先の会話の直前、申し伝えようとは頭を過ったのですが、会話の方の「流れ」を尊重し、そのままチョコ味を巻いていました。

「…30円違います」

-駄目よ、先に言わなきゃ!(苦笑)

-商売なんだからさ!

 

背格好も年の頃もそうなのですが、決め手はこの会話でした。

「似ている!」と確信したのは。

 

ハッキリと物をいう性格だったのです。

私の母親も。

もう、胸がキュンです(死後?…苦笑)

 

もう一度言います。

お伝えしなければ、とは思っていたのです価格の違いを。

ですが会話の流れの方を、良かれと思って尊重し、巻いてしまったのです。

しかしそこですかさず「ダメよ」と指摘して下さるこのストレートさ。

もう「胸キュン」です(笑)。

 

そこからは止まりません。

お子様は男の子2人に恵まれ、次男坊さんは私と同い年!

高校は函館ラサールだったそう。(優秀!)

長男坊さんはラサールと函館中部の両方に合格したのですが、大好きな吹奏楽を考えたときに迷わず中部を選んだそうです。

旦那さんは歳75の時に先立たれたそうです。

歌は演歌はイマイチで、ここ最近は林部智史半崎美子ばかり聴くのだとか。(知らなかった!このお二人とも)
歌詞が良い歌じゃないと、心に響かないからあまり好きになれないんですって。

好きな歌を歌う事は、声の張りと肺の動きを維持するため「大事なのよ♡」、と。

「ごもっとも」

etc.、エトセトラ、えとせとら…

 

ーあら、いま何時?

ーあなたもお仕事あるの?

ー帰るわ

 

そ、そ、そっくり!

 

 

こころ洗われるひと時でした。

開店後早々の時間帯。

仕事も当然ありましたが、たっぷり1時間、お話しさせて頂きました。

 

お相手が何をお求めになっていらっしゃるか。

お話相手を欲していらっしゃったのだと感じました。

私も、そんな気分でした。

タイミングが合ったのです。

 

 

口先から出てくるセリフと、意図している事が、必ずしも一致するとは限りません。

むしろ、想いや意図が、全く異なるところにあったりする場合の方が多いのかも知れません。

 

ビジネスや事情などが絡むと、ましてやそうです。

 

ですがその意図や真意など本音には、相手の立場に立ち切ってみないと「辿りつけ」ません。

想像しないと、「辿りつけ」ません。

慮らないと、「辿りつけ」ません。

 

今すぐ返したい答えがあったとしても、

耳から口の最短距離を選択する前にグッと堪え、

耳で聞いたセリフを脳を通過させ、腹まで落として丹田のあたりまでグルっと敢えて遠回りさせ、思慮することが必要だったりもします。

時には敢えて時間を置き、熟慮に熟慮を重ねることが必要だったりもします。

 

年齢やキャリアに差のある相手と対峙するときは、ましてや、です。

 

日常の忙しさなど事情が絡むと、「正直めんどくさい」ことがほとんどでしょう。

ですが、そうやって考え抜いて選んだ行動の先にこそ、

本当の信頼関係が生まれてきます。

 

常にそう考え大事にし、

しかしながら業務など事情や合理性・効率性とのバランスを考慮しながら生きているつもりの自分ですが、

今日は「そっち」を選択してみました。

 

 

 

そうか、こんどの9月は、亡くなった母の7回忌だ。

 

お帰りになったお婆様の背中を見送ろうと店を出てみたが、

どの方向を探してもその姿は確認できなかった。

 

今の自分に何か伝えたくて、フラッと現れたのだろうか…

あの世から母が…

まさか…な(笑)。